tgk

2022年1月27日

独自ドメインをとって無料のGoogle Appsを使うというのは結構広まっていただろうと思われる。
その後、無償の条件が厳しくなりながらも2022年まで使えてきたのだが、ついにそれも終わりがきた。

無償版「G Suite」、7月1日に完全終了 有償「Google Workspace」への切り替え推奨

有償版に切り替えるか、それとも別のサービスにするか、自前で構築するかの調査・検討をした。

 Workspaceに含まれて使えなくなるもの

Gmail、カレンダー、Docs、ドライブ

今後も使えるもの

アカウント、連絡先、フォト
AndroidやYoutubeのアカウントは使える。

ポイント Android/OpenID用アカウントしては今後も使える

Workspaceの一切が使えなくなるわけではない。
実際に使用している一つのドメインで試したのだが、Workspaceのサブスクリプションは終了しても管理ツールへのアクセスは残り、作成したアカウントは管理ツールから確認できる。アカウントの削除もできるようになっている。なのでAndroidやサーバパーティの認証用アカウントとしては、今後も使用できる。

注意したいのはWorkspaceの無償サブスクリプションを解約すると、アカウントの削除UIがすぐに出てくること。ここで流れにのって削除操作するとアカウントが消えてしまう!

Gmail

おそらくこれが最大の難関。

メールボックス

役割ごとにアカウントを使いわけている運用は多いだろう(自分だ)。この場合どこへ引越しするにも手間と料金が増える。

エイリアス

移行先にGmailのエイリアスと同様の書式が使えるか、エイリアス数に上限があったりしないか。ニュースなどの購読に個別にエイリアスを設定していたりすると問題が起きるかもしれない。

ウィルス対策/スパム対策/SPF/DKIM

Gmailではウィルスやスパムへの対策がセットだし、加えてSPF/DKIMといったメールの正当性情報を付加する機能もある。
格安メールサービスではSPFはあってもDKIMまでサポートしていない、スパムやウィルス対策機能もない場合がある。

メールデータの引越し

Gmailのエクスポートツールは使い勝手が悪い。
タグ分類を無視して、一つのファイルとして出力するので整理しなおさなくてはいけなくなるためだ。
タグごとに出力して、何度もインポート操作すれば一応はできる。

macOSのメールインポートでは取り込み時に一部データが喪失した警告が出た。
データ形式が移行先と合うならばmbsyncなどのIMAPの同期ソフトを使用した方がいいかもしれない(自分はそうした)。

Android

二つ目の難関。WorkspaceのアカウントでAndroidを使うのはワナだったと言いたくなるくらいにAndroidとGoogleアプリは連携が強い。

アプリの購入履歴が紐づいているので、アカウント削除は避けたい。

少なくともAndroid12なら複数アカウント対応しているのでやりくりはできる。GmailアプリはIMAP接続もできるので影響は少ないが、ドライブやDocsなどの関連アプリが使えなくなってしまうのは痛い。シンプルにGmailと連絡先、カレンダーを統一して使えるアカウントがいい。

AndroidでかつGoogle謹製アプリの利用が多いのなら、@gmail.comアカウントをメインにし、購入履歴がある既存Workspaceアカウントをサブにする運用にするのが最適解か。

カレンダー

各人の使い方によるが、もし几帳面なデータ管理なら移行が地味に面倒だと思う。
エクスポートツールを使ってみたところ、macOSのカレンダーには登録されなかった。条件があるのかもしれない。

連絡先

使い続けられる。だがGmailとカレンダーが使えなくなるのに連絡先があってもメリットは皆無だ。@gmail.comアカウントや、移行先のメールサービスに合わせるしかない。

Google Docs

データが多いなら有償版にした方が楽だろう。

ドライブ

Microsoft OneDrive、Apple iCloud, Dropboxなどが代替選択肢は多い。

DNS

DNSの移行は多くのDNSサービスがあるし、Google独自といえるものはないので移行は容易だ。

Google Anaytics / Webmaster tools / Firebase

アカウントを残すなら問題なく利用継続できる。
そうでないなら管理者権限アカウントを新規に追加することになる。

 Android Developer

AndroidアプリをGooglePlayに公開するためのサービス。
アカウントを残すなら問題ないが、そうでないならオーナー権限の変更が面倒になる。
移行アカウントにもAndroid Developerへの登録料金が発生する。

移行形態のプラン

とりあえずいま考えらた選択肢はこのくらい。

  1. 有償化
  2. iCloud+
    iPhoneユーザーならかなり有力な選択肢。Workspaceとサービス範囲がほぼ同じで独自ドメイン対応している。料金も安い。
  3. @gmail.comアカウント + SMTPサーバ運用で@gmail.comへ転送
    Androidの利便性を優先しつつ独自ドメインのメール対応を考えたプラン。
  4. 他社SMTP/IMAPサーバ運用
    ZOHOやさくらのメールなど。メールボックスが多い多人数利用。メール重視。Androidを考慮しなくていいなら。
  5. 独自SMTP/IMAPサーバ運用
    個人の趣味か、リソースをかけられるビジネス用……

多数のサービスやデータが単一アカウントの元で集中管理するのはイザというときが怖いのは承知しているつもりだったが、今回の件であらためて思った。OpenIDの利便性はわかるがアカウントを喪失したときの影響は大きい。

テキストとテキストエディターくらいに汎用性と選択肢があればいいのだが……

いや、ホントこえーなー。