「UIデザイナー不要説 / LSD LAB」を読んだ。タイトルとはちょっと違うような内容だったけど、思うところもあったので書く。

UIデザインは重要視されない、とボクが思う理由

1 スキルがなくてもできるから

プログラムはわからないエラいさんが、プログラムのことには口を出さないけれど、ユーザーインターフェースやデザインについてはあれこれ言うという光景はよくあると思う。これこそ「スキルがなくてもできるから」だ。

業界の人間でなくても、普通にアプリやウェブを使っていれば、自然とUIデザインの文法はわかってくるもの。もちろん体系的に学んだ人からすれば、全然なっていないことが多いだろうけど、それでも明確な不具合のないインターフェースとして成り立つ程度にはできる。
それに利用者だって自分がいじっているサイトのUIデザインの意図を推測したり学んでいくことはできる。ちょっとくらいちぐはぐなところがあっても慣れればどうにかなる。UIデザインについては致命的な欠陥でないと問題として浮かび上がってことない。つまり問題が問題として認識されないからだ。

2 評価の方法が難しい

UIデザインの善し悪しには主観が入る。ある人がよいと思うものが、別の人にはダメだったりする。Excelをよく使う人にはすんなりと使えるとか経験によって印象が変わったりもすれば、よく行くサイトのUI文法によって変わったりもする。
機能の評価は簡単だ。動くか動かないか、処理速度が十分な速さか、と明確に判断できる。でもUIデザインには、はっきりした評価基準がない。

いや、実際のところはインターフェースの評価をする方法はあるのだけど、かなりの時間と金と人手がかかるので、知っていても実施できないところも多いだろう。評価するのも定量化することも難しい分野なんだと思う。

UIデザインを重視していない人は元から評価しないし、重視している人も実際に評価する工程をとることも難しい。ある程度の水準(最低限使い方がわければいい)を満たせば、コストのかかる評価まではしない。だから開発したサイトのUIデザインが優れているかとか、引いてはそれをデザインした人の評価とか、そのあたりは放置されたままになってしまう。

ついでに言えば、このためSIerによくあるウォーターフォールの開発体制だと、個人的にUIデザインのイケてなさに気づいても、上流にまで話しを持っていくのはたいへんだ。「お前はUIデザインが駄目だと言っているが、その根拠を出してみろ」となった場合、どこまで説明できるだろうか。普通はそこまでしないよね。

そんなわけでUIデザインが重要視されないので、設計段階での品質評価といった体制もとられず、構造的にイケてないUIデザインが量産されているのだと思う。